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市場は変動の大きい1週間に 米インフレ率は3年ぶり高水準 金は4,100ドルを下回る

2026年6月12日 08:20
市場は激動の一週間 米国のインフレ率は3年ぶりの高水準 金価格は4100ドルを下回る

主なポイント

  • 米CPIとPPIがともに強い結果となり、FRBの追加利上げ観測が強まり、リスク資産の重しとなりました。
  • 米国株は当初、インフレと金利懸念を背景に下落しましたが、その後トランプ大統領がイランとの合意に向けた進展を示唆したことで反発しました。
  • 中東情勢の緊張拡大を受けて原油価格は上昇し、世界的にインフレ懸念を高止まりさせました。
  • 金は、インフレ高進と利上げ観測を背景に米国債利回りが上昇したことで、数か月ぶりの安値まで下落しました。
  • ECBは利上げを実施し、ユーロを支えた一方で、欧州株式市場には下押し圧力がかかりました。
  • テクノロジー株やAI関連株は、現在のバリュエーションが持続可能かどうかへの疑問が広がる中、引き続き不安定な値動きとなりました。
  • 来週は、株式、金、為替、暗号資産市場にとって、FOMCが最も重要な材料になると見込まれています。

米インフレ率は3年ぶり高水準に

米国の消費者物価指数(CPI)は前年比4.2%に加速し、3年ぶりの高水準となりました。また、生産者物価指数(PPI)も、経済全体に根強いインフレ圧力が残っていることを示しました。中東情勢の緊張やホルムズ海峡周辺での混乱を背景としたエネルギー価格の上昇が、インフレ押し上げの大きな要因となりました。

その結果、投資家の間では、FRBが金利をより長く高水準で維持し、さらに年内にもう一度利上げを行う可能性が高まるとの見方が急速に強まりました。市場では現在、追加引き締めの可能性が以前よりも大きく織り込まれており、年初に広がっていた利下げ期待から大きく方向転換しています。

こうした流れは金価格に強い下押し圧力を与え、金は主要サポートである4,100ドルを下抜け、2025年後半以来の安値圏まで下落しました。金のような利回りを生まない資産は、金利見通しが上昇すると保有コストが相対的に高まるため、投資家資金がより高い利回りを提供する債券などの資産へ移りやすくなります。


米国株は直近の下落から回復

今週の株式市場は、大きな反転を伴う展開となりました。週前半の下落は、前週発表された予想を上回る非農業部門雇用者数(NFP)がきっかけでした。この結果により、金利が高いにもかかわらず米経済は依然として底堅いとの見方が強まりました。雇用の強さ自体は経済にとって好材料ですが、市場ではそれがFRBによる利下げの可能性を低下させる材料として受け止められました。

特に、テクノロジー株、とりわけ半導体株やAI関連株は、高金利が将来の成長期待に逆風となることから売り圧力を受けました。ダウ平均は水曜日に約1,000ポイント下落し、年内でも大きな下げのひとつとなりました。ナスダックとS&P500も大きく下落しました。

しかし、木曜日には市場心理が大きく改善しました。トランプ大統領が、イランに対する予定されていた軍事行動が見送られたことを明らかにし、交渉が合意に向けて進展している可能性を示唆したためです。この発表を受けて、より広範な地域紛争への懸念が後退し、株式市場は反発、全体のリスクセンチメントも改善しました。

今週を通じて、投資家資金のシフトも続きました。資金はテクノロジー株から流出し、ヘルスケア、金融、エネルギーといったディフェンシブセクターへ向かいました。


ECBはインフレ抑制のため25bpの利上げを実施

欧州中央銀行(ECB)は今週、ユーロ圏で続くインフレに対応するため、25ベーシスポイントの利上げを実施しました。

この決定は当初ユーロを支え、欧州と米国の金利差が縮小したことから、EUR/USDは上昇しました。ただし、同時に米国のインフレ指標が強い結果となり、FRBの一段とタカ派的な姿勢が意識されたため、ユーロの上昇は限定的でした。

欧州株式市場はECBの決定を嫌気しました。借入コストの上昇は経済成長や企業収益の重しとなるためです。特に、不動産や一般消費財関連など、金利の影響を受けやすいセクターに売り圧力が強まりました。

今後もECBはデータ重視の姿勢を維持するとみられます。インフレは依然として目標を上回っていますが、景気減速の兆候が強まれば、今後の引き締めペースは抑えられる可能性があります。市場では、ECBの次の一手を探るため、今後発表されるインフレ指標や雇用関連データに注目が集まるでしょう。


原油は変動、金は引き続き上値の重い展開

米国とイランの緊張激化を受け、ブレント原油は93ドルを上回り、WTI原油も90ドルを上回りました。市場では、ホルムズ海峡を通過するエネルギー供給への混乱が意識されています。

OPECプラスは引き続き段階的な増産を進めていますが、今週を通じて価格を最も大きく左右したのは地政学的リスクでした。

一方、金は逆の動きとなりました。通常は地政学的な不透明感が高まると買われやすい資産ですが、今回はインフレ上昇と金利高観測が強く意識されたことで、上値の重い展開が続きました。金は重要なテクニカルサポートである4,100ドルを下回り、2025年11月以来の安値をつけました。


来週の主な経済カレンダーイベント

日付指標国・地域前回値時間(日本時間)
6月15日(月)ニューヨーク連銀製造業景気指数米国19.621:30
6月16日(火)政策金利発表日本<0.75%未定
6月16日(火)政策金利発表オーストラリア4.35%13:30
6月17日(水)消費者物価指数(前年比)英国2.80%15:00
6月17日(水)小売売上高(前月比)米国0.50%21:30
6月17日(水)FF金利米国3.75%03:00(6月18日)
6月18日(木)政策金利発表スイス0.00%16:30
6月18日(木)政策金利発表英国3.75%20:00
6月19日(金)小売売上高英国-1.30%15:00

テクニカル分析と見通し

金(ゴールド)テクニカル分析

金の短期トレンドは引き続き下向きです。高値・安値ともに切り下がる動きが続いており、明確な弱気トレンドが確認されています。

目先のレジスタンスは4,250〜4,300ドル付近、その上に4,425ドル近辺の20日移動平均線があります。このゾーンを明確に上抜けない限り、中期見通しの改善は難しい状況です。下値では、サポートは4,023ドル付近にあります。この水準を下抜けると、3,900ドル方向、場合によってはさらに下値を試す展開も想定されます。

短中期のテクニカル全体像は依然として弱気であり、価格が主要移動平均線を下回っている限り、売り手優位の構造が続いています。

金(ゴールド) 日足チャート

20260612 金価格が2025年11月以来の安値を更新

出典:STARTRADERアプリ|金価格が2025年11月以来の安値を更新

レジスタンス$4,329 – $4,350$4,500 – $4,520$4,600 – $4,620
サポート$4,025 – $4,060$3,888 – $3,920$3,760 – $3,800

ブレント原油 テクニカル分析

ブレント原油は、ここ数週間で明確に強い上昇トレンドから持続的な下降トレンドへと移行しています。

移動平均線もこの弱さを裏付けています。5日移動平均線10日移動平均線を下回り、さらに両者とも20日移動平均線を下回っています。この弱気の並びは、一般的に下方向のモメンタム継続を示唆します。また、価格は移動平均線付近まで戻そうとするたびに上値を抑えられており、戻り売りが入りやすい状況です。

サポートは現在、心理的節目でもある89.00ドル近辺にあります。この水準を明確に下抜けると、87.00ドル、さらに85.00ドル方向まで下値余地が広がる可能性があります。レジスタンスは92.50〜93.00ドル付近、その上に95.00ドル、さらに98.50ドルがあります。

ブレント原油 日足チャート

20260612 和平合意の締結が間近と市場が予想する中、原油価格が下落

出典:STARTRADERアプリ|和平合意の締結が間近と市場が予想する中、原油価格が下落

レジスタンス$92.30 – $92.50$95.00 – $95.20$98.50 – $98.70
サポート$89.00 – $89.20$87.00 – $87.15$84.80 – $85.00

ナスダック100 テクニカル分析

ナスダックは、ここ数セッションで大きく調整したものの、長期的には依然として強い上昇トレンドの中にあります。3月の22,800付近で底を打って以降、指数は力強く上昇し、30,795付近の過去最高値まで達しました。直近の下落によって強気モメンタムはいったん鈍化しましたが、3月安値を大きく上回る水準にあることから、全体構造としては依然として買い手優位です。

テクニカル面では、今回の調整で価格は5日および10日移動平均線を下回り、20日移動平均線も急上昇後に横ばいへ転じつつあります。これは、上昇モメンタムがかなり鈍化し、市場が持ち合い局面へ入りつつあることを示しています。ただし、29,000付近で買いが入ったことから、押し目では依然として需要が存在しています。

主要サポートは29,150〜29,200付近、その次が28,500近辺のより強いサポートです。これらの水準を維持している限り、より大きな強気構造は崩れていません。上値では、29,700〜29,800付近、その上に心理的節目の30,000、さらに直近高値の30,795がレジスタンスとして意識されます。

ナスダック 100 日足チャート

20260612 米国株価指数は数週間にわたる力強い上昇の後、売り圧力にさらされる

出典:STARTRADERアプリ|米国株価指数は数週間にわたる力強い上昇の後、売り圧力にさらされる

レジスタンス30,037 – 30,22530,565 – 30,61230,741 – 30,800
サポート28,209 – 28,40027,614 – 27,72027,295 – 27,330

EUR/USD テクニカル分析

EUR/USDは、今年前半に1.2000を上抜けた後、その上昇を維持できず、中期的な調整局面にあります。4月以降は高値・安値ともに切り下がる流れとなっており、弱気トレンドの特徴が表れています。

移動平均線の構造も勢いの鈍化を示しています。価格は現在、10日および20日移動平均線を下回っており、20日線も下向きへ転じ始めています。これは、現時点で売り手が市場を主導しており、買い戻しの動きが限定的であることを示しています。

最も重要なサポートは1.1540〜1.1500付近にあります。このゾーンを下抜けると、3月安値である1.1410付近が視野に入り、下降トレンドが加速する可能性があります。上値では、1.16001.1650、さらに1.1750がレジスタンスとなります。

EUR/USD 日足チャート

20260612 欧州中央銀行が金利を25ベーシスポイント引き上げたことを受け、EUR/USDが上昇

出典:STARTRADERアプリ|欧州中央銀行が金利を25ベーシスポイント引き上げたことを受け、EUR/USDが上昇

レジスタンス1.1643 – 1.16601.1730 – 1.17451.1788 – 1.1800
サポート1.1502 – 1.15101.1430 – 1.14451.1398 – 1.1400

リスク警告: 本資料は情報提供のみを目的としており、推奨や投資助言を行うものではありません。証拠金を用いた金融商品の取引には大きなリスクが伴い、すべての投資家に適しているとは限りません。

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